足彩胜负彩

图片

豊田工業大学

サイトマップ

文字サイズ 標準

訪問者別

MENU

豊田工大Release

第4回 次世代文明センターシンポジウムを開催しました(3/6)

2024.04.01

2024年3月6日(水)に、「生成AI時代の?人間?と?社会?のゆくえを問う」と題して、4回目となる次世代文明センター公開シンポジウムを開催しました。成長著しい?生成AI?をテーマに、AIの現状と展望、AIに求められる倫理のあり方について議論しました。

今回も対面とオンラインの同時配信を行いました。会場には一般参加者と本学教職員?学生をあわせて、約166名が参加し、オンラインでは76名が参加しました。

関連するテーマの講演には、岡崎直観先生 (東京工業大学 情報理工学院 教授)と、神崎宣次先生(南山大学 国際教養学部 教授)のお二人にご登壇いただきました。

★P1830801.JPG

岡崎先生の講演では、近年になって驚異的な進化を遂げている「大規模言語モデル(LLM)」の仕組みと性能、活用例などを中心に、生成AIがどのように成立しているのか、その中身をお話しいただきました。大規模言語モデルが人間の質問に答える仕組みや、単語の予測の仕方、テキストデータの構築手順などが、専門的な観点から解説されました。まさにAI開発者の頭の中を垣間見た時間でした。その際、自然言語処理と呼ばれる操作において、コンピューターが言葉を扱うことの難しさが示唆されました(単語と意味の対応付けや、離れた位置にある単語同士の関係性の特定など)。また、未学習のタスクであっても、指示を与えるだけでAIが解けるようになる現象の不思議さにも言及されました。私たちが日常的に使用している言葉をいかにして人工知能に学習させるか、その試行錯誤がよく理解できる講演でした。

★P1830811.JPG

続く神崎先生の講演では、倫理学の観点から、AI開発に伴う社会的課題や、AIの有用性と人間の価値観?目的との関係についてお話しいただきました。その際、焦点となる課題が、「AIを人間の価値に沿わせる」(価値整合)という印象深いフレーズによって表現されました。AIが出力した回答が、人間の元々の意図や希望から外れるときがあります。あるいは、社会の価値観とぶつかるときがあります(人種差別や人類滅亡論など)。そういうとき、AIの動作をいかに人間の価値規範から外れないようにコントロールするかという課題が生じます。この「AIアライメント問題」を考える際の一つの手がかりとして、「機械は、その行動が私たちの目的を達成すると見込める限りにおいて、有益である」というラッセルの言葉が紹介されました。しかし、一口に「私たちの目的」と言っても、決して一様ではなく、人間同士ですら目的を共有できていない現状があります。したがって、AIとどう付き合うかを考える前に、まずは人間同士でどのようにうまく折り合いをつけるのかを考える必要があるのではないか、と説かれました。また、AIを使いこなすスキルとして、自分たちの目的と合致した指示をAIに与えるために、ますます人間の側の高度な言語能力(説明スキルや、回答の正誤を判定する読解力)が必要になるということが確認されました。

★P1830885.JPG

両氏の講演のあと、次世代文明センターの江口 建 教授(人文科学研究室/哲学)と原大介教授(外国語研究室/英語)がパネリストとして加わり、パネルディスカッションを行いました。江口教授がパネリスト兼司会を務めました。最初に原教授が両講演者にそれぞれ質問を投げかけたあと、江口教授が文脈を受け継ぐ形で議論を広げ、さらに両氏の発表から論点を取り出したうえで質問を投げかけました。

原教授からは、まず岡崎先生に対して、機械翻訳が今よりも進化した暁には、英語を学習しなくても済む世界が来るのかどうか、という質問が投げかけられました。次いで神崎先生に対しては、「人間の目的に沿わせる」という態度が、そのつどの政権や時代の価値観に合わないものを排除するというような人間に都合のよい価値の押し付け(ある種の思想統制)につながる可能性について問いかけが為されました。

前者の話題については、英語教育の必要性や意義だけでなく、大学教員が不要になる時代は来るのか、学校の授業はいずれAIを搭載した学習教材に代替されるのか、家庭教師や学習サポーターはAIに任せたほうが効率的なのか、という点にも議論が及びました。さらには、最新のAIの思考力は人間と同等なのか、という議論から派生して、「知性とは何か」という問題をめぐって意見が交わされました。その際、「チューリングテスト」「中国語の部屋」という思考実験が紹介されました。

そこからさらに、創造性(creativity)に関して、すでにAIは人間を超えているのかどうか、AIはイノベーション(革新)を起こしうるのか、ということについても活発な意見交換が為されました。その流れで、聴講者から寄せられた質問を基に、AIにユーモアのセンスを持たせることは可能か、AIに漫才はできるか、という話題についても両講演者からそれぞれ意見を伺いました。

シンポジウム終了後の参加者アンケートでは、「工学?技術と哲学?倫理の両面を扱ったシンポジウムという点がとてもよかった」、「もっと長く聞いておきたい示唆に富むシンポジウムだった」、「こういう考えさせるテーマは面白い」、「是非こうしたシンポジウムは続けてほしい」、「このような機会をまた作ってほしい」等、多くの激励コメントが寄せられました。人間社会の未来と、これからの時代の教育について、各自が思い思いの深度で考える時間となりました。


【講演動画】

◎講演1 岡崎直観先生(東京工業大学 情報理工学院 教授)

「生成AIの現状と展望」

画像を拡大してご覧いただく場合はこちらへどうぞ。

◎講演2 神崎宣次先生(南山大学 国際教養学部 教授)

「AIを人間の価値に沿わせるという課題について」

画像を拡大してご覧いただく場合はこちらへどうぞ。 

◎パネルディスカッション

(左側:江口教授、原教授、右側:神崎先生、岡崎先生)

画像を拡大してご覧いただく場合はこちらへどうぞ。